08年プロレス大賞の選考会が9日、都内で開かれ、45歳の武藤敬司(全日本)が史上最年長で7年ぶり4度目の最優秀選手賞(MVP)を受賞した。新日本のIWGPヘビー級、全日本の3冠ヘビー級王座の計4冠保持が評価された。時代を読む武藤は、総合格闘家転向を表明した北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト、石井慧(21)=国士大=に“ラブコール”を送った。
いつでも、攻める。天才武藤は、チャンスを逃さない。7年ぶりのMVP獲得でスポットライトを浴びた男が、「プロレス LOVE」ならぬ、「石井 LOVE」をアピールした。
「石井と接点はないけど、時間があればぜひ、うち(全日本)を見に来てほしい。彼はプロレスに興味がないそうだが、絶対おもしろいからさ」と熱視線。総合格闘技イベントのDREAM参戦が濃厚な石井だが、正式発表には至っていない。ならば、と“金の卵”獲りを仕掛ける。来年1月4日には恒例となった新日本・東京ドーム大会に乗り込み、メーンで棚橋弘至の挑戦を受ける。全日本マットではないが、そこでも武藤のパフォーマンスが見られるとあって、誘い水を向けた。
11月には22年ぶりに全日本の台湾興行を開催。健康増進イベント「武藤塾」も定期的に開き、成功させている。02年9月に全日本の社長に就任して以来、多角的な事業展開でプロレス界をけん引する。だが、経済不況が深刻化するなか、来年のエンターテインメント業界はさらに厳しい状況に置かれると予測し、「原点に立って、お客さんにいい試合を見せることに尽きる」。そのためには、五輪金メダリストの看板を持ち、破天荒な言動で注目を集める石井の存在は魅力的にうつる。
45歳11カ月でのMVP受賞は、昨年同賞を受賞した三沢光晴(ノア)の45歳5カ月を更新する最年長記録となるが、「年齢は関係ない。あとは気持ちしだい」と言い切った。4月には新日本マットに上がり、中邑真輔からIWGP王座を奪い、4度防衛中。9月には武藤の化身グレート・ムタとして、全日本3冠王座を諏訪魔から奪取し、初防衛も成功した。「若いヤツがもっとオレを突き上げなくていいのかな」。大舞台に欠かせない妙技が、09年も円熟の輝きを放つ。
By サンスポ