印象づけた多彩な技=国母、平常心で決勝へ−ハーフパイプ〔五輪・ハイライト〕(時事通信)
軽やかに、鮮やかにパイプで舞った。国母和宏(東海大)が予選2回の滑走とも40点を上回る高得点。スノーボードのハーフパイプ男子で、順調に決勝へと駒を進めた。「予選のルーティン(演技構成)で、もうちょっと得点を伸ばしたかった」と言う余裕も見せた。
緑と黄色のウエアが弾んだ。高いエアの際に板をつかむ「グラブ」技の時間が長く、横回転も鮮やか。昨秋に身につけた縦回転の大技を予選では封印したが、それでも多彩な技があることを印象付けた。左右どちらの壁を使っても、5度飛んだエアの着地がほとんど乱れない。気持ちよく滑れたか、と問われ、「はい」と短く答えた。
独特の美学がある。五輪を目指した各選手が昨年から競って大技に取り組むようになった現状に、「スノーボードは体操ではない。クルクル回って勝てるようなのはイケてない」と発言。だが、勝負になればそれは別だ。「好きな滑りをして点が出なかったら悔しい」と昨秋には大技「ダブルコーク」の習得に挑戦。あっさりと自分の物にすると、それを組み込んだ構成で第一人者ショーン・ホワイト(米国)らも出場した1月の米国大会で3位に入ってみせた。
本番を前に、服装をめぐる一連の騒動があった。だが、21歳は「競技には影響ない」と言い切った。17歳で挑んだトリノ五輪ではメダルも狙ったが、予選落ち。雪辱を期す2度目の五輪で決勝へ。「自分の滑りしか気にしていないですね」。あくまで平常心だ。
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