男、秋山が世界の舞台に打ってでる! 元柔道家で、プロ総合格闘家の秋山成勲(33)が、世界最高峰の総合格闘技団体、米国の「UFC」と契約を結んだことが25日、わかった。秋山はこの日、都内でサンケイスポーツの取材に応じ、UFCへの熱い思いを独白。北京五輪柔道男子100キロ超級金メダルの石井慧(22)に先んじ、7月にもデビュー予定。日本格闘界のパイオニアとなる。
迷いはない。熱い思いのままに、海を渡る。秋山が、世界最高峰の総合格闘技の舞台、金網に囲まれた戦場に立つ。
この日、UFCの公式ホームページに、秋山との契約が完了したことが掲載された。冷たい雨が降るなか、黒のTシャツ姿で現れた秋山は、高まる気合のオーラを漂わせた。
「UFCは野球でいうならメジャーリーグ。海外に出て得られるものがある。年齢も年齢なので体が動くうちに(勝負)したかった」
プロ格闘家に転向した04年から、胸にあたためてきた情熱。昨年10月、UFCを初めて観戦し、最強の場で挑戦する気持ちが固まった。昨季限りで現役引退し、親交の深い野球評論家・清原和博氏(41)にもすでに報告。清原氏は04年大みそかK-1「Dynamite」での秋山の試合(Vsフランソワ・ボタ)で初めてセコンドに付き、以後も度々リングサイドに陣取る仲で「大丈夫か。けがだけはするなよ」と背中を押された。
柔道時代は81キロ級で活躍した秋山。04年アテネ五輪代表を逃したことを機に総合格闘家へ転向。スピードを生かした派手なファイトで人気者になったが、06年大みそかの「Dynamite」の桜庭和志戦で、自身の体に禁止されているオイルを塗る反則を犯し、“ヒール”のレッテルをはられた。それでも、「自分がやったことなので、仕方がない。最終的にファンが盛り上がってくれればいい」。過去の過ちを素直に謝罪する。
屈強なハートの持ち主は、立ち止まらず前を向く。今回のUFC参戦は一時の格闘技バブルがはじけ、停滞する格闘技界の起爆剤になる意思も込められているのだ。入場の際には、UFCではこれまで見られなかった柔道着を着る意向もある。
08年北京五輪で金メダルを獲得し、プロ格闘家への転向を表明した石井もUFC入りを目指しているが、UFCとの独占契約交渉期間が1月末に切れ、決裂。下部大会から出場していく可能性があり、秋山が一歩先んじた。「(石井は)いいものを持っている。真っすぐ礼儀正しくがんばってほしい」と、笑顔で後輩にもエールを送った。
秋山は現在、都内に金網のリングがある道場をつくっており、着々と参戦の準備が進んでいる。3月にはUFCの強豪戦士、BJペン(30)=米国=がいるハワイ島へ向かい、本格的な打撃トレーニングを積む。UFCでは群雄割拠のミドル級(リミット83.9キロ)で挑む予定だ。
「UFCではアジアの選手が勝てていない。米国は夢を見られる場所。パイオニアとして帰ってきたいですね」。日本人が大挙して在籍する米大リーグも、95年に野茂英雄投手がさきがけとなって道を切り開いた。UFCで王者になれば、ワンマッチで8000~1億2000万円(推定)の報酬も期待できる。まさに夢舞台。魂を揺さぶる闘いを、見せてくれ!
By サンスポ
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