亀田大毅対戦相手が死亡…滝修行中に転落かスポーツニッポン - 2009/4/14 7:02
プロボクシングの元東洋太平洋フライ級王者で、現在日本同級4位の小松則幸=こまつ・のりゆき=選手(29=グリーンツダ)が13日、滋賀県大津市の比良山系三ノ滝の滝底で死亡しているのが見つかった。小松選手は5月13日に東京・後楽園ホールでWBA世界スーパーフライ級12位・亀田大毅(20=亀田)と対戦予定で、精神修行のため同地を訪れていた。試合1カ月前の対戦相手急死に、亀田大もショックを受けているという。
小松選手は5月13日の亀田大毅戦へ向けた合宿で、11日から京都市内の寺に座禅を組みに行っていた。その際に寺から「精神修行に適した滝がある」と聞き、この日、トレーナーら4人と滋賀県大津市の葛川坊村(かつらがわぼうむら)町にある比良山系の三ノ滝へ向かった。
三ノ滝は幅約2メートル、落差約20メートル。滝付近は足場が急で、小松選手は滝伝いに1人で崖を下りたあと、姿が見えなくなったという。午後4時15分ごろ、トレーナーが地元住民を通じて滋賀県警大津北署へ通報。同6時25分ごろ、駆け付けた署員や消防隊員が滝の底に沈んでいるのを見つけて引き揚げたが、すでに心肺停止状態だったという。滝のそばには小松選手の上着が残されており、同署は誤って滝つぼに落ちたとみて、詳しい状況を調べている。
小松選手はプロ36戦のベテラン。05年1月にはWBC世界フライ王者ポンサクレック(タイ)相手に世界初挑戦して5回TKO負けしたが、強打が持ち味で打撃戦を得意としていた。しかし、最近は打たれ弱さが目立ち、今年2月には元IBF世界ミニマム級王者ラタナポン(同)に1回TKO負け。それでも、次戦で亀田大毅に勝てば世界再挑戦へのチャンスが開けるとあって陣営の意気は上がっていた。
小松選手が所属する大阪・東成区のグリーンツダボクシングクラブでは、ニュースを聞いて駆け付けた同僚らがぼう然とした表情を浮かべた。ジムには試合のポスターが張られ、小松選手の写真には「津田(ツダ)魂」のフレーズも。前田和久チーフトレーナーは「とにかく練習するやつで、スタミナはピカイチだった」と振り返ったが、精神修行としての合宿は今回が初めてだったそうで「普段そういった練習はしない」といぶかった。また、グリーンツダ時代に世界2階級制覇を果たした井岡ジムの井岡弘樹会長も「ええ子やったのに。落ち込んでます」と言葉を失っていた。
◆小松 則幸(こまつ・のりゆき)1979年(昭54)4月21日、大阪府寝屋川市出身。97年にプロデビュー。02年9月に東洋太平洋フライ級王座に就き、5度の防衛に成功。05年1月29日、WBC世界フライ級王者ポンサクレック・クラティンデーンジム(タイ)に挑戦し、5回TKOで敗れた。06年12月、エディタウンゼントジムからグリーンツダジムへ移籍。戦績は36戦24勝(10KO)6敗6分け。1メートル66。
◆三ノ滝(さんのたき) 滋賀県大津市北部の比良山系にある。別名は不動滝。国道367号から明王谷林道に入って約1・5キロのところにあり、地響きとともに落差20メートルの滝つぼに落ちる直瀑(ばく)。比叡山回峰行の始祖相応和尚が入峰し、生身の不動明王を感得したといわれる。修行のための小屋が滝が流れる崖の上にある。滝つぼまでは険しい崖に阻まれて容易に下りることはできない。
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