本田で2発!日本変えた俊輔と共存、南アへ光…アジア杯
スポーツ報知 - 2010/3/4 8:00
◆アジア杯予選リーグAグループ 日本2―0バーレーン(3日・豊田スタジアム) 日本はバーレーンと対戦し、代表では初めてトップ下で先発起用されたMF本田圭佑(23)=CSKAモスクワ=の活躍で2―0で勝った。前半36分に先制点の起点になると、後半ロスタイム2分にヘディングでダメ押しゴールを挙げ、岡田武史監督(53)は大絶賛。あと99日に迫った南アW杯に向け、決定力不足の課題は残ったが、レギュラー争いに踏みとどまった本田がさらに機能すれば、岡田ジャパンの救世主になる。
最後の最後に存在感を示した。後半ロスタイム2分。右サイドの内田からクロスに、ニアでFW森本がつぶれると、後ろで待ち受けた本田は、冷静に頭で合わせた。「危機感を持って挑んでいました。今日、点を取れなかったら、しゃべらないでおこうと思っていた。気分は悪くない。ラスト5分、ヤバイなと思いながら、時計見ながらプレーしていた」。自慢の金髪を輝かせて、ガッツポーズを決めた。3万8042人、久々に満員で埋まったスタンドからはブーイングはなく、歓声が沸いた。
岡田監督の起用に応えた。この日、08年のW杯アジア3次予選バーレーン戦以来の俊輔との同時先発。しかも、先発では初のトップ下。昨年9月のオランダ戦、後半25分から本田トップ下、俊輔右サイドを試し2失点してから封印してきたが、本田の決定力と俊輔を「共存」させるために復活。本田が起点となった前半36分のFW岡崎のゴールでは、表情ひとつ崩さなかった指揮官が、本田のゴールには、両手で1回、続けて右手で1回、大きくガッツポーズし「ビックリしたのは、本田自身のプレースタイルがかなり変わっていた。彼に期待しているのは得点力。ほかの誰よりも、点を取ってうれしい」。チーム最多5本のシュートを放った本田を絶賛だ。
星稜高3年時、名古屋の練習に参加し「目標を持っている選手と、持ってない選手がいると分かった」。上を目指す姿勢こそが、頂への道だと実感した。今年1月、オランダのVVVからCSKAモスクワに移籍したのもレギュラーが保証されない環境だったから。移籍して2か月。初のキャンプでは、徹底的にフィジカルとスピードの強化に取り組まされた。「今までにないくらいのスピードで成長してると実感できた」と胸を張った。代表では昨年、結果を出せなかった。生き残りを懸けた最後のチャンスで結果を出した。
南アでの活躍を見せたい人がいる。兄の弘幸さんだ。アルゼンチンリーグ3部でプレーした元プロ選手。日頃から連絡を取り合い、貴重なアドバイスを受けている。ここで満足するわけにはいかない。「(ロシアで)厳しいレギュラー争いが待っている。今日以上に危機感持ってやりたい」と気持ちを引き締めた。
俊輔を含めれば、欧州組を4人呼び戻してベスト布陣で臨みながら、決定機を何度も外した。2―0は誇れる結果ではないが、本田がさらに機能すれば「W杯4強」に近づく。オランダ戦後、本田を酷評した俊輔はこの日、「(本田と岡崎は)サイドから期待を持ってクロスを上げれる。消える時間もあるが、ほかの人が(本田を)使えばいい。岡ちゃんと本田のセットはオプションになりうる」とその成長を認めた。日本とW杯で対戦するオランダのファンマルバイク監督は本田を「非常に才能のある選手。W杯の時はレギュラーだろう。彼は危険なところを突くことができる」と警戒する。進化する本田が、南アの“切り札”になる。
◆本田 圭佑(ほんだ・けいすけ)1986年6月13日、大阪・摂津市生まれ。23歳。G大阪ジュニアユース、石川・星稜高を経て2005年に名古屋入り。08年からVVV(オランダ)、今年1月にCSKAモスクワ(ロシア)へ移籍した。08年北京五輪出場。国際Aマッチ12試合出場4得点。既婚。182センチ、74キロ。血液型AB。