16日に行われるダブル世界戦の前日計量が15日、都内で行われ、4選手全員が一発パスした。世界初挑戦の粟生(あおう)隆寛(24=帝拳)は、先月15日にWBCスーパーバンタム級暫定王座を獲得した同門の西岡利晃(32)に続く世界奪取を宣言。名門・帝拳ジムの黄金時代到来を期してホープがリングに上がる。
計量台に上がる粟生の目つきがグッと鋭くなった。難なく計量を一発パスすると、計量台の上で人さし指を突き上げ、No・1ポーズ。WBC世界フェザー級王者オスカー・ラリオス(31=メキシコ)との写真撮影にも堂々とした態度で臨んだ粟生は「死に物狂いでベルトを獲る。あすの夜にはボクの腰にある」と強気に言い放った。
今回が世界初挑戦。強打のラリオス対策として従来のスタイルを一から見直した。これまでは足を使ってポイントを稼ぐアウトボクシングが主体だったが「今までのボクシングじゃ通用しない。幅を広げないと」と明かす。高校6冠のホープが自らのスタイルを捨ててまで臨むほど、世界奪取に懸けてきたが、名門・帝拳ジムにとっても、大きな意味のある試合だ。
先代の故本田明会長の時代から、帝拳ジムは日本プロボクシング界を引っ張ってきた名門だ。だが、生み出した日本人世界王者は少なく、元WBA世界フライ級王者・大場政夫、元WBC世界スーパーライト級王者・浜田剛史と西岡の3人だけ。9人の世界王者を輩出した協栄ジムに大きく後れをとっている。
しかし、9月に西岡が同ジム22年ぶりの世界王者となった。その1カ月後に粟生の世界初挑戦。最大のホープが王座を奪取すれば、同ジム初の同時期の世界王者並立となる。現在、帝拳には日本王者2人、東洋太平洋王者2人がおり、計6人の王者が在籍する黄金時代を迎えることになる。
アウトボクシングに加えて、インファイトにも磨きがかかり、田中トレーナーは「パンチが切れるようになった」と手応えを口にする。「勝ちにこだわりたい」と粟生。大きな期待を背負って帝拳ジムのホープが、世界に挑む。
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