○長谷川穂積-ネストール・ロチャ●(神戸、一回TKO)
まるでリプレーを見ているようだった。3月の前回防衛戦に続く一回TKO。地元・神戸のファンの前で、長谷川が再び圧倒的な強さを見せつけた。
立ち上がりから、前に出ないロチャに、右ジャブでプレッシャーをかける。そして1分58秒。「狙っていた」という左ストレートをノーモーションで顔面に浴びせ、返す刀で右のフック。まともにあごを打ち抜くと、挑戦者は前のめりにリングに崩れ落ちた。
完全に足に来た相手をロープ際に追いつめ、左右の連打で2度目のダウン。なんとか立ち上がりはしたが、レフェリーが割って入った。有効打を一発ももらうことのない圧勝だった。
二回、二回、一回、一回。KOが続くここ4試合で、リングに立ったのはわずか6ラウンド。控えめな王者が自ら「みんな吹っ飛んだりする。パンチ力はバンタム級じゃないと思う」と振り返るほど、その強さは異次元の域に達しつつある。
連続防衛回数を「9」に伸ばし「ここまで来たら2ケタを目指したい」と言う。だが一方で「すぐに(階級を)上げるチャンスがあれば、そっちに行くかも」と、階級転向への意欲も口にした。減量の苦しさもさることながら、もっと強い相手と戦いたいという、ボクサーとしての欲求の表れだろう。
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