3大大学駅伝の初戦で早大が11位と惨敗した。出雲全日本大学選抜駅伝(13日、島根・出雲大社前~出雲ドーム前の6区間、44キロ)は22チームが参加して行われ、優勝候補の早大は1区の八木勇樹(1年)が17位と大きく出遅れるなど期待のルーキートリオがブレーキ。16年ぶりの優勝を狙う来年1月の箱根駅伝に向け、戦略見直しを余儀なくされた。日大が最終6区でケニア人留学生のギタウ・ダニエル(3年)が1分29秒差を逆転し、4年ぶり4度目の優勝を飾った。
勝負のシーズンを迎えた早大が、今季初戦でいきなりつまずいた。11月の全日本大学駅伝と来年1月の箱根へ向け、短い区間でのスピードが試される出雲で11位。今年の箱根で12年ぶりに2位に入り、駒大とともに優勝候補に挙げられながら失速した。北京五輪代表の竹沢主将は「自分たちが弱いことが確認できた」と危機感を募らせた。
期待のルーキートリオが誤算だった。1区の八木(兵庫・西脇工出)がいきなり17位と出遅れ。「練習では走れていたのに、体の感覚がいつもと違っていた」とうなだれた。続く2区の矢沢(神奈川・多摩高出)も「前に追いついてやると思ったんですが…」と気持ちが空回りし、区間13位。4区の三田(愛知・豊川工出)は区間5位だったが「もっと行けると思ったのに、足が動かなかった」と、こちらも本来の走りとは程遠かった。
88年ソウル、92年バルセロナ五輪マラソン4位の中山竹通氏(愛知製鋼監督)の長男、卓也(兵庫・須磨学園出)を加えた4人は今春、鳴り物入りで早大に入学。箱根2位のメンバーが7人残ったうえ、昨年のインターハイなどで活躍した大物新人カルテットが加わり、渡辺康幸(現監督)や武井隆次、櫛部静二、花田勝彦の「3羽ガラス」を擁した93年以来となる箱根制覇の態勢が整ったはずだった。しかし、中山は出番がなく、他の3人もそろって不発。渡辺監督は「1年生は強い選手でも、やっぱりつなぎですね。3、4年生に頑張ってもらわないと。(11月の)全日本はメンバーを入れ替えます」と戦略の見直しを示唆した。
北京五輪後初のレースとなった3区の竹沢は6人を抜いたものの、右太腿を気にしながらの走りで不安を残した。黄金期再来を期待されるシーズンは厳しいスタートとなった。
≪日大 ダニエル左ひざ痛何の≫アンカーのダニエルが大逆転劇を演じた。トップの駒大と1分29秒差の5位でタスキを受けたが、残り2キロで駒大をとらえ、逆に14秒差をつけてゴール。モグス(山梨学院大)の区間記録を5秒塗り替える28分28秒をマークした。左ひざに痛みを抱えていたが「痛くても我慢した。本当にうれしい」。2月にケニアで北京五輪マラソン金メダルのワンジルと練習してパワーアップし、9月のインカレでは五千メートル、一万メートルの長距離2冠に輝いた。今季から就任した堀込ヘッドコーチも「超ミラクル。巨人軍のようだった」とエースを称えた。
≪駒大 逆転負けで2位≫昨季の全日本、箱根に続く3大会連続優勝はならなかった。最終6区で3年生エースの宇賀地がトップでタスキを受け、必勝パターンに持ち込んだと思われたが、まさかの逆転負けで2位。出雲駅伝10年ぶりの優勝を逃し、大八木監督は「なかなか勝てないな。悔しい。(日大のダニエルと)大砲の差が出た」と残念がった。
≪東海大 V4ならず…≫大会4連覇を逃し、6位に終わった。1区の河野が区間15位、2区の平山も同14位と出遅れ。最終6区に控えていたエース佐藤(4年)もトップ争いには加われなかった。新居監督は「1、2区の2人はいれ込みすぎたのかな」とガックリ。1月の箱根駅伝で途中棄権したため18日に予選会(立川)が控えており、指揮官は「中4日しかない。疲労を取るだけです」と気持ちを切りかえていた。
By
スポニチ