内藤、ドタバタ流血V5/WBCフライ級サンケイスポーツ - 2009/5/27 7:52
WBC世界フライ級タイトルマッチ(26日、ディファ有明=観衆917)王者・内藤大助(34)=宮田=が挑戦者・熊朝忠(26)=中国=にダウンを奪われる大苦戦の末、3-0判定勝ち。故大場政夫(帝拳)に並ぶ日本人フライ級世界王者最多5度目の王座防衛に成功し、自身の持つ世界王座の国内最年長防衛記録を34歳8カ月に伸ばした。直前の23日に当初予定されていた中国・上海での開催を断念。ドタバタの中で防衛を果たしたが、WBCは今後2試合連続の指名試合を通告。過酷な防衛ロードが待ち受ける。
「小タイソン」の異名を持つ、中国初の世界挑戦者の強烈な左右フックに、プロキャリアで10年近く上回る王者の表情が一変する。4回に左、5回には右目の上を切った内藤は、6回に右フックを食らいまさかのダウンも喫した。8、11回にはロープを背負いグロッギーに。最終回、最後の気力を振り絞って攻め、何とか判定勝ちした。
「せっかく、僕の1試合のために来てくれたのに、本当にすみませんでした」。中国・上海開催が試合3日前に中止されての、異例のワンマッチ興行。当日券を買って詰めかけたファンに、傷だらけの男は血まみれの顔で何度も頭を下げた。
「びっくりしたねー、倒れてんだもんな」とボクシング人生2度目のダウンをおどけた口調で振り返った。世界王座の国内最年長防衛記録を34歳8カ月に更新し、故大場政夫に並ぶ日本人フライ級世界王者最多タイの5度の防衛。くしくも大場の5度目の防衛戦、1973年1月にチャチャイ・チオノイ(タイ)に12回KO勝ちしたときも、1回のダウンをはね返してのものだった。
前代未聞の試合直前の開催国変更騒動。現地の委託業者が会場の使用許可を取っていなかったことで日本開催を余儀なくされ、負けるわけにはいかなかった。
だが、まだ困難が待っている。この日、WBCから“非情通告”が届いたのだ。WBCは昨年3月の当時同級1位のポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)とのV2戦(引き分け)を指名試合と認定せず(1)暫定王者ポンサクレックとの90日以内の王座統一戦(2)それに勝てばさらに90日以内に1位と指名試合-と、2試合連続の指名試合厳守が言い渡された。ただ宮田ジム・宮田博行会長(42)は「内藤は両目の上を深く切ったから、次戦を90日以内にできるかどうか」と話す。
生涯初ダウンを食らった02年4月の世界初挑戦以来、4度戦ってきた宿敵ポンサクレックが次戦の相手。「やりたくねー!」と苦笑いした内藤だが、王者の真価を証明する5度目の激突へ、過酷な運命に挑戦する。
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