戦極参戦の石井、対戦候補に吉田秀彦浮上
北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストの石井慧が日本の総合格闘技イベント「戦極(せんごく)」と仮契約を結んだことを発表した。石井は米国の総合格闘技イベント「UFC」への参戦を目標として交渉を行ってきたが、周囲の人たちに相談する過程で「最初からUFCでの試合を勧める人は1人もいなかった」などのことから、日本国内での出発へ視野を広げ、総合格闘技初戦の準備を進めてきた。
深い親交があり「好きな選手」として慕う朝青龍からは「家族に試合を見せてやれ。それが恩返しにもなる」とのアドバイスがあったとのことで、会見の席で石井は高齢の祖母に試合を見せられることを大いに喜んでいた。
「日本で生まれ、日本で育った僕は、日本の格闘技を盛り上げていく“宿命”を背負っているのではないかと考えました」(石井)
日本国内で総合格闘家として出発することの決まった石井だが、米国進出の目標をあきらめたわけではない。「UFC」への参戦は先送りとなったが、交渉の過程で芽生えた良好な関係は今も継続されており「2日前にもグッズが送られてきました」とのこと。「戦極」側も石井の「UFC」進出の目標には理解と支援の構えを見せており、契約中に米国進出を阻害するような条項は設けていない。
現在の日本総合格闘技界は「戦極」と「DREAM」が“2大メジャー”とされているが、石井が「戦極」への参戦を選んだのは、石井が目指すヘビー(93・1キロ以上)級で“人類最強”とされるエメリヤーエンコ・ヒョードルへの挑戦権を獲得したジョシュ・バーネットが同イベントへ出場していたことや、プロダクションとのマネジメント契約後1番に交渉を持ったのが「戦極」であったことが要因だという。
試合時期や対戦相手は現在のところ未定だが「戦極」には石井と同じく五輪柔道の金メダリストで、総合格闘技では重量級を主戦場とする吉田秀彦が参戦中。石井は吉田との対戦が打診された場合「僕は対戦相手を選ぶ立場にありません。言われた相手、誰とでもやります」と話しており、これには主催者も「非常に興味深いカード」(國保尊弘広報)として、対戦の実現に大きな関心を寄せていた。
北京五輪からおよそ1年での総合格闘技デビューとあって、石井の初戦には格闘技ファンのみならず、広く世間からの注目を集めることが予想されるが、テレビ中継などのプランについては今のところ未定。國保広報は「まずは試合時期と相手を決めることが大切」と話していた。
[ スポーツナビ 2009年6月1日 21:42 ]
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