ライト級のエース五味隆典(30=久我山ラスカル)が、想定外の敗北を喫した。2回にセルゲイ・ゴリアエフ(26=ロシア)の左パンチを浴びてリングに崩れ落ち、その後の反撃も及ばず1-2の判定負け。来年1月4日のライト級初代王者決定戦(さいたまスーパーアリーナ)を前に、約2年半ぶりの黒星となった。
最終3回終了直後、五味はマウスピースをリングへたたきつけた。その姿がすべてを物語っていた。2回中盤、左パンチを放ったところに左ショートストレートを合わせられ、リングに崩れ落ちた。「あんなに効いたのは初めて。年だね」(五味)というほどのダメージ。もうろうとする意識の中で相手を倒してパウンドを奪ったが、結果は1-2の判定負けだった。
負けが許されない試合だった。今春、國保尊弘取締役兼広報担当(39)が「Road to 五味」と題したライト級GPトーナメント開催を宣言。優勝者が来年1月4日にPRIDE同級初代王者の五味へ挑戦する事実上の挑戦者決定トーナメントだった。「別格扱い」に五味は「(タイトル戦までは)絶対に負けられない」と、これまで以上に気合を入れていた。
一方で肉体的な衰えも感じていた。今年9月22日に30歳になった。これまで豪快な打撃を武器にした勝ちっぷりは「スカ勝ち」(スカッと勝つという意味)と名付けられていたが、最近は「(パンチを)もらうとフラつくようになったんだよね」とも話していた。試合後も「明らかにダメージをもらった。止められてもおかしくない状況だった」。笑って話したが、PRIDEを中心に29勝を積み重ねた「五味伝説」にも陰りが見えていた。
来年1月4日開催の「戦極の乱2009」でのタイトル戦出場に変更はない。GPトーナメントを制した北岡には「(五味の)挑戦を受けて立ちます」とまで言われ「いい薬です。オレが挑戦者みたいだから頑張りますよ」。05年のPRIDE同級トーナメントに続くメジャータイトルへの道は険しいものとなった。
By ニッカンスポーツ
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