ヒョードル陥落後、UFCヘビー級の頂点は?=レスナーvs.カーウィン見どころ
今週末、3日(土・同、日本では4日11時からWOWOWで生中継)にラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナで開催されるUFC116「LESNAR vs CARWIN」。先のストライクフォースでワールドベストファイターと称されることが多かったエメリヤーエンコ・ヒョードルが、ファブリシオ・ベルドゥムに敗れた。果たして、もう一つのヘビー級、世界の頂点の行方は?
本来、昨年11月のUFC106でブロック・レスナーが持つUFC世界ヘビー級王座に挑戦予定だったシェーン・カーウィン。しかし、レスナーの体調不良により選手権試合はキャンセルされ、王者はタイトルを保持したまま休養期間に入った。
その後、カーウィンは3月のUFC111で元世界王者のフランク・ミアーと暫定王座決定戦を行い、3分48秒TKO勝ちを収め、もう一人の世界王者として君臨している。カーウィンは、5年のプロMMAキャリアで、12連勝中のカーウィンだが、デビューの時点ですでに30歳を過ぎており、現在35歳で年齢的には2歳年長ということになる。
8連勝後、UFCデビューを果たしたカーウィン。これまでの12勝のうち、1分以内の勝利が5度、2分以内も同じく5度、他の2勝がデビュー戦の2分11秒、前述した暫定王座を奪った試合の3分48秒。つまり、彼は未だに1R終了のホーンを聞いたことがないという驚異的な戦績を重ねている。
1試合平均1分20秒で勝利を収めてきたカーウィンだが、ESPNに出演した際、「高地トレーニングをしてきたので5Rになっても問題ない」と、一部で聞かれるスタミナへの不安を払拭(ふっしょく)するコメントを残している。
コロラド州デンバーという、高度1600メートルで普段から生活をしており、ベガスで戦う際は峠を下りてきたようなもの。スタミナに問題なく、カレッジレスリングではディヴィション2で活躍した元はレスラーだが、レスナーとの一戦で狙うは立ち技。「1RKO勝ち」宣言も飛び出した。
一方、1年のブランク明けとなるレスナーだが、究めてメディアへの露出が少ないものの、伝わってくる話は万全のコンディションにあるという話ばかりだ。
グレッグ・ネルソンの指導の下、総合格闘技の雄エリック・パーソン、ブラジリアン柔術で一世代を築いたホドリゴ・コンプリード・メデイロス、さらにケン・フロにボクシングを指導するピーター・ウェルチなど、各方面でトップのスタッフを揃えている。
キャリア4勝1敗の世界王者は、まだまだ伸びしろが残されている。キーポイントは二つ、カーウィンのパンチに対するレスナーの反応、そしてカーウィンがテイクダウンを奪われた場合のグラウンドワークだ。
これまで体格差をいかし、長いリーチを武器に未成熟なスタンドの攻防を勝ち上がってきてレスナーだが、カーウィンとは僅か3センチほどしかリーチに違いはなく、スピードでは劣ると見られている。だからこそ組みついて倒すことが求められるが、組み合った状態で放つカーウィンのパンチの威力は、既にミアー戦で立証済みだ。
そんなカーウィンも、スタンドで強すぎるが故に、実戦の寝技で下になるということがない。一応はブラジリアン柔術紫帯を巻くだけに、最低限の対応はできるはずだが、その柔術黒帯のミアーとの2戦目でレスナーは抜群のグラウンドコントロールとパウンドを見せている。
レスナーの強力な抑えとパウンドから生還するには、背中をつけるまえの柔術的な動きが必要になる。ただし、これまで実戦で必要なかった敏しょうな動きが、どこまでカーウィンは可能なのか。この辺りが勝負の分かれめになりそうだ。
とはいってもレスナー&カーウィンともに、本当の意味でポテンシャルを見せ切ってはいないだけに、試合内容の予想も難しい。底の知れない者同士のUFC世界ヘビー級王座統一戦ということになる。
[MMAPLANET]
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