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石田順裕、34歳新王者!背水大一番で大差判定

石田順裕、34歳新王者!背水大一番で大差判定

 「WBA世界Sウエルター級暫定王座決定戦」(30日、大阪府立体育会館)
 同級3位の石田順裕(34)=金沢=が、同級4位マルコ・アベンダーニョ(35)=ベネズエラ=を3-0の判定で下し、暫定王座を獲得した。Sウエルター級の日本人王者は、三原正(三迫)以来27年ぶり4人目。34歳での世界王座奪取は、35歳の越本隆志(FUKUOKA)に次ぐ国内歴代2位の高齢記録となる。また10月6日にWBA世界フライ級タイトル戦(大阪市中央体育館)を控えるWBA世界11位の亀田大毅(20)=亀田=は、4回KOで勝利した。
  ◇  ◇
 左、左、左…。1ラウンドから12ラウンドまで、石田は徹底して左だけを出し続けた。左ジャブで出はなをくじき、左フックで迎え撃ち、左ストレートで勢いを止めた。
 「左を制する者は世界を制す」
 使い古された格言だが、ここまで見事に体現した選手はいないだろう。左を突くことで距離を保ち、相手の大振りなパンチを完全に見切った。「狙い通りです。本当はもっと打ち合いたかったけど、勝ちを優先してしまいました」。ほとんど傷のない顔をほころばせ、作戦勝ちを強調した。
 ジムの先輩でもある元WBC世界Sフライ級王者・徳山昌守氏も「ボクシングは左一本で勝てるということを示してくれた。右のボクサーはお手本にしてもらいたい」と絶賛。「打ってから下がる“後の先”ができていた。これは気持ちが強くないとできない」。後輩の成長を手放しで褒めたたえた。
 苦しみ、悩み続けた1年だった。「本当につらかった」。世界ベルトを手に、石田がしみじみと振り返った。昨年9月に「挑戦者決定戦」を制し、次は世界戦と意気込んだが、待てど暮らせど決まらない。「引退しようかとも思った」。ふさぎ込む夫を、妻・麻衣さんが「あなたは大器晩成なんだから大丈夫」と力づけた。夫婦二人三脚でつかんだ“ラストチャンス”を、みすみす逃すわけにはいかなかった。
 日本選手27年ぶりのSウエルター級世界王者となったが「まだ暫定。真のチャンピオンになってから号泣したい」。国内歴代2位の高齢奪取を果たした34歳の世界王者の視線は、さらなる先を見据えている。晩成の血が花開くのは、まだまだこれからだ。
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