内藤ざんげのV5…フラフラ判定勝ち
「WBC世界フライ級タイトルマッチ」(26日、ディファ有明)
内藤、薄氷防衛!王者・内藤大助(34)=宮田=が、挑戦者・熊朝忠(26)=中国=を3-0の判定で下し5度目の防衛に成功した。6回に右フックでダウンを喫し、11回もダウン寸前まで追い込まれたが、気迫で振り切り王座を死守。これで大場政夫に並び、日本人世界フライ級王座防衛歴代トップタイとなった。V6戦は同級暫定王者ポンサクレック(タイ)との王座統一戦が決定的で、今夏にも実現する。
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両目上をカットし、傷だらけの王者に笑顔はなかった。リング上でマイクを向けられると「せっかくこの試合のためにこんなに来てくれたのに、しょっぱい試合をしてすみませんでした。これが僕の実力です。まだまだだと分かりました」と、観客席に向かって深々と頭を下げ陳謝した。
明らかに力んでいた。身長で12・5センチ、リーチで14・5センチも上回りながらも倒すためにあえて接近戦に持ち込んだ。長い腕をもてあまし、空振りが目立った。6回には不用意に打ち合いに出たところに右フックを食らいダウン。勝負どころでキャリアを生かしてポイントを奪ったが、決定的な場面は最後まで訪れなかった。
試合3日前に開催地が変更となった前代未聞のタイトル戦。折れかけた内藤の心を支えたのは、故郷の北海道豊浦町の後援者らだった。約20人の地元後援者がツアーを組み、中国・上海まで駆けつける予定だった。上海開催が中止となり、ツアー代金の全額返金は見込めない状況だが、誰一人として不満の声を上げなかったという。
現地に乗り込む予定だった後援会関係者らは、行き先を上海から東京に変更し、会場に駆けつけた。そんな人たちのためにも倒して勝ちたかった。「KOは狙っていた。さばこうとは思わなかった。だけどそれが裏目に出たと思う」。はやる気持ちが焦りを誘い、すべてが空回りしてしまった。
今後、内藤には過酷な防衛ロードが待ち受ける。次戦は90日以内に同級暫定王者ポンサクレック(タイ)との王座統一戦をWBCから義務付けられている。さらにこれをクリアしても、WBCから同級1位ポノムランクレック(タイ)との指名試合が待っている。「とりあえずつながったから。次があるから」。薄氷の勝利に王者は自身の言葉の中に希望を見いだしていた。
[デイリースポーツ]
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