内山高志がサルガドにTKO勝ち、王座奪取に成功 ともに強打で無敗の内山高志(13戦13勝10KO)と細野悟(16戦16勝12KO)が世界王座に初チャレンジするWBA世界ダブルタイトルマッチが11日、東京ビッグサイトで行われた。
内山が挑んだのは、昨年10月にスーパーフェザー級最強の呼び声も高かったホルヘ・リナレスをわずか73秒で降して王者となった、メキシコのファン・カルロス・サルガド。22戦21勝(15KO)1分と内山同様サルガドもプロ戦績無敗であり、王者にとっては前回のリナレス戦に続き、またも無敗のチャレンジャーを迎え撃つ一戦となった。
リナレスを秒殺した強打を持つサルガドだが、内山は臆することなく序盤から打ち合いを展開。サルガドはロングレンジから槍のようなジャブと鋭く踏み込んでの左フックを振るってくるが、内山は世界初挑戦にも関わらず硬さを見せず、これをかわして左フックと右ストレートを放っていく。
柔軟なボディワークを見せるサルガドをなかなかとらえられずにいた内山だが、中盤に入るとその動きを見切り始めたか、逆に余裕を持ったステップでサルガドのパンチをかわしていく。そしてサルガドが踏み込んでくるのに合わせて左フックをカウンター。内山がリング中央に立ち、サルガドにロープを背負わせる展開となっていく。
前に出れば左フックを合わされ、躊躇してると内山が踏み込み放ってくる右ストレートに襲われる――サルガドは追い詰められ、次第に打つ手がなくなってくる。
それでもボディワークとクリンチを駆使するサルガドが判定決着まで持ち込むかに思われたが、内山は最終12Rにロープ際で右ストレートと左フックを見舞って猛攻。ここまで粘ってきたサルガドの気持ちを断ち切るようにダウンを奪う。何とかここから立ち上がったサルガドだがすでに勝敗は明らかで、内山が攻め手を緩めず左右フックを乱れ打ちして見舞うとレフェリーは試合をストップ。試合終了わずか12秒前の2分48秒、内山がTKOでベルト奪取に成功した。
その強打から“バズーカ”の異名を持つ細野は、バンタム級を制した後にスーパーバンタム級も制した2階級チャンピオンのプーンサワット・グラティンデーンジムに挑戦。
従来のフェザー級から1階級下げての世界挑戦となる細野は、自慢のバズーカさく裂に期待が持たれたが、プーンサワットはあたかも戦車のような圧力で1Rから前に出て細野を押してくる。距離を潰された細野は強打の爆発を封じられ、下がらされての展開を余儀なくされる。
中盤に入るとプーンサワットはフットワークを駆使したヒット・アンド・アウェーも見せ始め、接近してはブロック、離れてはステップで細野のバズーカを空転させていく。
ここまでプロ40戦(39勝28KO1敗)、ボクシング以前にはムエタイでも活躍したという実戦経験豊富なプーンサワットは、細野の左ボディに苦しむ場面も見せたが強打を封じる巧みな試合運びを実践し、115-113、117-113、114-114の2-0で判定勝ち。
試合後はこの日テレビ解説を担当し、階級転向も噂されるWBCバンタム級チャンピオンの長谷川穂積に対し、「もし挑戦してきたら喜んで受けて立ちます」とメッセージを送った。
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