真央が復活した!フィギュアスケートのGPシリーズ最終戦、NHK杯は29日、東京・国立代々木競技場で第2日を行い、女子フリーで浅田真央(18=中京大中京高)が126・49点で1位となり、合計191・13点でGP通算6勝目を挙げた。ショートプログラム(SP)1位の浅田は2度のトリプルアクセル(3回転半)に挑戦。1つは回転不足と判定されたが、今季不調だったジャンプが復調した。GPシリーズ上位6人によるGPファイナル(12月12~14日、韓国・高陽)で、ライバルのキム・ヨナ(18=韓国)と今季初対決する。
フィニッシュのスピンでバランスを崩し、手をついた浅田は、頭を抱えて苦笑いした。「自分でもビックリです。倒れるくらいやったら、最後は本当に倒れちゃいました」。攻め続けた結果の“お手つき”。ちょっぴり恥ずかしさもあったが、上回ったのは全力を出し尽くした充実感。珍しく両手でガッツポーズをつくって喜んだ。
「攻める」ことがテーマだった。「目力を強くしようと思った」と昨季より目元のアイラインを濃くして登場。不安を抱えていたジャンプでも逃げなかった。「きょうの朝、正式に決めました」と2度のトリプルアクセルに果敢に挑戦した。
ハチャトリアン作曲の「仮面舞踏会」の荘厳なメロディーに乗って、冒頭で単独のトリプルアクセルを完ぺきに決めた。さらにトリプルアクセル―2回転トーループの連続ジャンプに挑む。成功したかに見えたが、ジャッジの判定はわずかに回転不足。05年の全日本選手権では跳んでいるものの、国際大会ではいずれも女子史上初となる2度のトリプルアクセル、トリプルアクセルからのコンビネーションの快挙はならなかったが、会場を埋め尽くした9005人からは大喝采を浴びた。
アクセルの回転不足と後半の3―3回転の連続ジャンプが単発になった以外はほぼノーミスだった。スピンやステップもレベル3以上を確保。フリー、合計とも自己ベストに及ばなかったが、合計191・13点は、シニア自己最低の167・59点だった2週前のフランス杯を大幅に上回り、自信を完全に取り戻した。
「きょうは90点。優勝したこともうれしいけれど、自分のジャンプに戻ったこともうれしい。今回は攻める気持ちを忘れずにできたことが大きかった」
ミスがありながら、ライバルのキム・ヨナの今季最高193・45点にも肉薄し、逆にプレッシャーをかけてGPファイナルに臨むことになる。2010年バンクーバー五輪で金メダルを争う宿敵との直接対決を「今年初めてなので楽しみです」と話し、2度のトリプルアクセルは「悔しいですけれど、次にできればいい。また目標が見つかりました」と話した。快挙は逃したが、ライバルの目の前で偉業を達成し、3年ぶりにGPファイナル王座を取り戻す最高のシナリオが、はっきり見えてきた。
By スポニチ
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