青木半治杯2008国際千葉駅伝(24日、千葉県総合スポーツセンター発着=6区間(男子3区間、女子3区間の計6区間)、42.195キロ)北京五輪女子5000メートル代表で2区(5キロ)の小林祐梨子(19)=豊田自動織機=が15分8秒の区間新記録をマークし、日本代表の2位に大きく貢献。女子最優秀選手賞(MVP)に輝いた。小林は五輪直後に照準を今大会に絞ってトレーニングを再開。レースでは、08年世界ジュニア女子5000メートル金メダルのスレ・ウツラ(エチオピア)とのデッドヒートを見事に制した。
ヒートアップした心に千葉路の冷たい雨が心地いい。ショートヘアをぬらして祐梨子が走った、抜いた、魅せた!!
「1区の中尾さんがいい位置(2着)でタスキを渡してくれた。10代最後のレースをこういう形で締めくくれて幸せです」
第1中継所。トップのエチオピアとは7秒差だった。世界初の男女混合駅伝に生まれ変わって2年目。男性ランナーの心意気を、19歳の乙女がしっかりと受け継いだ。
3度にわたるデッドヒートを制した。ライバルは08年世界ジュニア5000を制した18歳のウツラ。「昨日(23日)、それを知って力がわいてきた。(体調は)かなりよかったので(7秒差は)挑戦するには最高の条件でした」と小林。後方からヒタヒタと“獲物”に迫ると3キロ過ぎについに捕らえたはずが、ウツラに狙い済ましたようなスパートをかけられた。
2度目の挑戦は4キロ過ぎ。再び並ぶが、またも逃した。ダメか…。周囲の失望とは裏腹に小林には余力があった。第2中継所手前100メートルでギアチェンジし、ウツラをついに置き去りに。駅伝初解説の高橋尚子さんが「精神的強さとスパートがすごい」と大絶賛すれば、待ち受けた3区の岡本も「トップで来て焦った」と味方をも欺く?激走だった。
素顔は国立の岡山大マッチングプログラムコース2年に通う英語と数学が大好きな女子大生。そんな小林の転機となったのが北京五輪だった。決勝進出にわずか0秒75及ばず、1組7着で予選落ち。レース中のペースの上げ下げに度肝を抜かれた。帰国後、すぐに今大会に向けてトレーニングを再開。『大切なのはラスト1キロ。それまでは我慢だ』。2度突き放されても差しきった末脚は「北京で(気持ちを)落ち着かせるレースを学んだ」からだった。
昨季は学生ゆえ実業団登録が認められず涙した。今後も所属先の駅伝出場はかなわないが、日本代表なら夢がかなう。昨年はテレビ観戦した大会で最高の結果を生み「数少ないチャンスを頂いて、成長できました」と、沿道と競技場で19万人以上が声援を送った千葉路に感謝した。
「これで5000で14分台もいけると確信しました。福士さんの3000(8分44秒40)と5000(14分53秒22)の日本記録に挑戦したい」
今後は出場できる記録会を探しながら、クリスマスには沖縄での合宿も予定。千葉から世界に発信した『YURIKO』の名。必ずやサンタが最高のプレゼントを用意しているはずだ。
By サンスポ
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